軽貨物ドライバー『地獄の菩薩行』

その荷物には、ドライバーの怒りと悟りが詰まっています。

宅配あるある「家がわからない」

同じエリアで配達していると、同じ人の家に何度も配達することになります。名前や住所を見ただけで家までのルートや外観、配達しやすい時間や配達方法などがわかるようになります。これを繰り返していくと、担当エリアの配達が上達していきます。一方で、それでも家がわからなくて探すことが無くなる訳ではありません。また、曜日によっては担当エリア以外の場所も配達することがあり、住所不明で配達できずに持ち帰ることも珍しくはありません。

ちゃんと探せよと言われるかも知れませんが、荷札に書かれている住所がゼンリンの住宅地図で見当たらない場合、私はこのようなことをします。

 

①地図上である程度目星を付ける

ゼンリン地図上で近い番地の空白地などにあるのではないかと目星をつけてピンを立てて置き、実際に訪問時その周辺を探します。

 

②住所の間違いを疑ってみる

目星をつけた場所周辺で見当たらない場合は、例えば「上〇町」と「下〇町」の「上」と「下」の間違えではないか、「東」と「西」、「1丁目」と「2丁目」の間違いではないか、ということを疑って、ゼンリン地図上で住所を探してみます。

 

③番地内を探す

住所違いを試してみて、それでも見つからない場合、時間に余裕があれば荷札に書かれた番地内を一周して探します。

 

④お客様に電話をかける

お客様に電話して家の場所を教えていただきます。時間に追われて急いでいる場合は、①からいきなり④の電話することもありますが、何度も電話で問い合わせを受けているお客様だと、クレームを受ける場合もあります。

 

⑤諦める

お客様が電話に出なかったら、留守番電話にメッセージを残してそこで諦めます。当日の荷量によりますが、ひとつの荷物に掛けられる時間は有限ですので。

義理の親子や同性カップルのように、ひとつの家に苗字の違う人が住んでいる場合、宛先が「山田様方 田中様宛」などとわかるようになっていなければ、配達員はいくら住所が合っていても配達に迷ってしまいます。

山田さんと田中さんが同棲していたとして、宛先が「田中様宛」表札に「山田」としかなかったら、ここに田中さんも住んでいるという確証が取れません。チャイムを押して聞いてみるのですが、不在であればどうしようもありません。山田さんの家に宅配ボックスがあっても、宅配ボックスに入れるには田中さんもこの家に住んでいることを確認してからになります。

それで住所不明で持ち帰ると、「宛先の住所は間違っていない。住所通りだ」「宅配ボックスを設置してる意味がない」などとクレームを受ける可能性もあり、配達員としては悩ましい限りです。ただ、もしも現住人が山田さんで田中さんは前住人で引越ししていたとしたら、誤配になってしまいます。

一度荷物が届くと、「この運送会社は私の家を理解した」と思うことでしょう。いくらエリア担当制でも、毎日ひとりでそのエリア内の配達をしている訳ではなく、休日や荷量や荷物の大きさによって複数の配達員が同じエリアで配達をしています。お客様が思うよりも多くの配達員がそのエリアの荷物を運んでいるのです。

配達員同士で情報共有しますが、住所を探す能力は人それぞれですし、情報共有も何から何までという訳ではありません。

だからといって何度も住所確認の電話が続くと、いい加減にしてくれと怒る気持ちも理解できます。何度も住所確認の電話が入るということは、上記に記載したような方法で家を探してもわかり辛いのだと思います。原因がわかれば問題を解決できるので、怒るのは構いませんが、怒った後に配達員と一緒にその問題を解決してほしいと思います。配達員はできれば速攻で住所を見つけて配達を済ませたいのです。家を探してうろうろ歩いたり、お客様を怒らせたりしたくないと思っています。目的は同じなのですから。

 

(※ 写真はフリー素材です)